12月13日(金) 愛媛県県民文化会館別館第15会議室にて「【演劇×福祉×医療】連携から生まれる新しい現場 〜人と人とのアクセシビリティ〜」と題し、研究発表とシンポジウムを開催しました。会場には43名の参加者が訪れる中、発表が始まりました。
まずは、おきらく劇場ピロシマのファシリテーター 山田めいと坂田光平(舞台芸術制作室 無色透明)による「『おきらく劇場ピロシマ』の現場で起きていることと日常に生まれる変化について」発表を行いました。
福祉現場と演劇分野が交わりながら行われた事業「おきらく劇場ピロシマ」での実践報告とファシリテーターや俳優として事業に関わる中で発見した事等について、映像も多く使用しながら発表を行いました。活動を広めていくために行き詰まっている点など、現場での課題についても話をさせていただきました。
続いては、医療分野における演劇の活用について、世界劇団の本坊由華子さん、赤澤里瑛さんからの研究発表です。発表の前半は、本坊さんから「医療現場における問題点と、演劇の持つ可能性について」と題して、医療者サイドの課題について指摘、患者と医師との間、医師と医師との間におけるコミュニケーションに演劇が必要であることを指摘しました。
後半は、赤澤さんより「発達障害に関する説明・支援・治療の現状〜治療としての演劇の可能性と今後の展望について〜」と題して、発達障がいに関する説明や支援・治療の現状について、また、治療としての演劇が持つ可能性について発表されました。世界劇団が取り組んでいる、精神科病院のデイケアで演劇の手法を使ったコミュニケーションWSについても報告されました。
休憩を挟み、前半の研究発表を踏まえて、引き続きシンポジウムが行われました。
パネリストには、劇作家・演出家の平田オリザさん(青年団)、同じく劇作家・演出家の永山智行さん(劇団こふく劇場)、主催の認定NPO法人ひゅーるぽん 代表の川口隆司の3名に、司会進行の岩﨑きえさん(舞台芸術制作室 無色透明 代表)を交えて開催されました。
「演劇が何かいいらしい、ということにはどの分野も気付き始めているが、それでは、どのように説得力を持って演劇を広めていけば良いのだろうか」「作品が芸術作品として評価されるにはどうすればいいのか」……
各分野の専門家であるお3方と、演劇プロデューサーと、話題は尽きません。
質疑応答の時間には、会場からもたくさんの手があがり、終了時間ギリギリまでトークは続きました。
正解がないからこそ、各分野での取り組みについて振り返り、パネリスト・会場の参加者も含めて意見を交えることで、取り組みをより豊かにし、将来に繋げていきたいと考えています。
(参加した方のアンケートより※一部抜粋)
・障がいはハンデではなく前提である、できないことも物語であるという言葉が心に残った。障害がある・なしに関わらず1対1で関われること、優しさからではなく、必要とされることをできるのは良いなと思った。
・主題である医療と福祉と演劇のつながりについて深く考えるきっかけとなりました。こんなに深く演劇の事を考える人たちが東京でなく、愛媛に集まることに希望を感じました。
(報告:山田めい)