主催のプログラム

広場をつくろう2019演劇ワークショップ活動報告

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2019年9月23日開催 

2回目となる「広場をつくろう2019演劇ワークショップ」を広島市南区民文化センターで行いました。参加者は総勢26人。講師は、引き続き永山智行さん(劇団こふく劇場代表:宮崎県)です。これまで参加したことのある人もない人も入り混じりながらの、演劇ワークショップは、簡単なゲームから始まり、緊張がほぐれた頃に自己紹介が始まりました。

自己紹介の後は、こんなことをやりました。

普段私たちが使っている「おはよう」「ありがとう!」などの言葉を全て「ホニャホニャ」語で喋ります。自分の気持ちや、伝えたいこと、全てを「ホニャホニャ!」「ホニャホニャ〜」だけで表現していきます。会場のあちこちで「ホニャホニャ」語が聞こえてきます…

人と人とがコミュニケーションを取る時は、「言葉」以外に、相手が発する「音の強弱・高低」や「表情」、言葉と言葉の間の「間合い」など、本当にたくさんのことを感じながら想いを伝え合っています。

「言葉」に縛られない「ホニャホニャ」語は、私たちが無意識に感じる「こう言わなくちゃいけない!」という焦った気持ちから解放してくれます。

「ホニャホニャ」語では、こんなゲームもやりました。

ホワイトボードに書かれた「場所」を「ホニャホニャ」の音だけで表現し、チームの回答者に答えてもらいます。チームに分かれて作戦会議……どんな音が聞こえてくるでしょうか。

ホワイトボードに書かれたのは「駅」。だけど、回答者は「う〜ん、動物園?」会場には「ホニャホニャ」と笑い声がいっぱいです。

「ホニャホニャ」語をはじめ、これまで演劇のワークショップでは様々なゲームをやってきました。どのゲームにも共通するのは「出来ないことは、失敗ではない」ということです。

もちろんどのゲームにもルールがあり、ホニャホニャ語による場所当てゲームにも一応正解が決まっています。けれど、目的は正解をすることや、ゲームを上手くすることではありません。大切なことは、ゲームの中で生まれた出来事を一緒に体験し、お互いのことを知り合い、気持ちを通わせることです。

演劇の舞台の上では、「できる」ことも表現ですが、「できない」ことも表現です。

喋ったり、動いたりすることが表現方法の一つであるように、黙ったり、動かないでいることも表現方法の一つなのです。相手のことを知り、その人の表現を受け止め尊重し合うことがとても大切です。これは、日常の中で人と人が繋がることと一緒だと思います。

ワークショップの後半には、講師の永山さんから、台本が配られ、チームに分かれて練習・発表をすることになりました。チームのメンバーはそれぞれの役を担当して、読み合わせ。台本途中には空白の部分があって、自分たちでセリフや動きを考えるシーンがたくさんあります。

それぞれどんな作品が生まれてくるのでしょうか。役を振り分け、みんな真剣です。

稽古を挟んで、すぐに発表です。「え〜!もうちょっと待って〜!」という声も上がりましたが、どのチームも、出演者の個性溢れる豊かな作品を上演しました。

使用しているのは皆同じ台本ですが、演じる役者やそれぞれのチームの感性が混じり合い、全く違う作品が生まれます。例えば、役は同じお母さん役でも演じる役者が違えば、いろんなお母さんに変わります。元気なお母さんや、忙しないお母さん、優しそうなお母さん………他にも、登場人物が増えていたり、劇中に突然歌が飛び出したりとチームごとに様々な演出が加わっていました。

お客さんは他のチームの参加者です。話の展開や動きに、会場からは笑い声が溢れます。お客さんの反応を受けて、舞台上のメンバーのセリフや動きも自然と大きくなっていきます。

作品を発表することで、つくっていたメンバーだけではなく、作品を観るお客さんともその場で気持ちを通わせ一体感を感じることができる、関係を作ることができるのが演劇の持つ力の一つです。

そして、もう一つ。作品をつくるメンバー同士の関係が生まれることが演劇の力です。

例えば、文字を読むことが苦手なメンバーがいれば、得意なメンバーが読みあげます。もちろん最初から台本に振り仮名を振ることもできるのですが、台本に振り仮名がないことで生まれるコミュニケーションを私たちはとても大切にしています。

メンバーが話し合い作品をつくり、お互いの持ち味を見つけ、一つの作品にしていきます。時間がかかることですが、それは人と人が関係をつくるために大切で必要な時間でもあります。

演劇作品は上演してしまうと、形になって残ることはありませんが、
作品をつくる過程で生まれる人と人との関係性は、私たちが社会で生きていくための支えとなる、かけがえのない宝物だと思います。

次回は、演劇公演に出演希望のメンバーが集まり、ワークショップを行います。3年目となる「広場をつくろう」は、どんな出会いとドラマが起こるのでしょう?今からドキドキしています。

(報告:山田めい)

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