主催のプログラム

【第3回】障がいのある人のアート活動を支援する人たちのためのスキルアップセミナー&ワークショップ開催

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障がいのある人のアート活動を支援する人たちのための
スキルアップセミナー&ワークショップ第3回開催
【広島ひかり園】

11月13日(日)に、「障害のある人のアート活動を支援する人たちのためのスキルアップセミナー&ワークショップ」第3回を広島ひかり園様にて開催いたしました。

基調講演と事例発表に、神戸にある片山工房 理事長の新川修平氏とスタッフの皆さん、広島の事例発表者として、広島ひかり園の日向典子氏、コメンテーターにギャラリーミヤウチ学芸員の今井みはる氏をお迎えしました。まず基調講演では新川修平氏より、片山工房での取り組み「アートに取り組む上で大切にしていること」についてお話いただきました。

片山工房は「人が軸」を基本として考え、本人の意思を大切にされています。自らの意思で描きたい絵を描く、描きたい気持ちにならなければその時まで待ち続けられるそうです。「待つ」事は簡単なようで非常に忍耐力のいることですが、周りのサポーターがどれだけ待てるかで、その方のデキるを広げることに繋がっていくそうです。
スタッフの方から、片山工房に通う創作メンバーとの関わりについてのお話や映像を通して「待つ」姿勢を感じました。サポーター・支援者として、待つこと、相手の根本にある思いを感じとる力が大切であることを学びました。

事例発表では、広島ひかり園に入園されているアーティスト常富芳香さんの活動についてお話くださいました。常富さんの初めての個展を開催するにあたり、施設とギャラリーが繋がった経緯や、周りの変化などを詳しく解説いただきました。今井先生のコメントから、当初、作品につける価格ひとつとっても、施設側とギャラリー側の価値観の違いが大きくあったそうです。何度も打ち合わせを重ね、周りの方の熱い思いに支えられて開催に至ったとのことでした。
発表を聞く皆さんの、頷きや真剣にメモをとられる姿がとても印象的でした。

午後からのワークショップでは、すぐに生かせる表現・技法について体験しました。「表現の多様性」と題して、片山工房に通われている方の、澤田さんの技法「右足でペンキの入った紙コップを蹴る」を体験しました。その方は全身に麻痺があり、唯一動かすことができる右足で創作をされています。

1グループ3〜4人になり、アーティスト役、紙コップを置くスタッフ役、絵の具を流したい方向に紙を動かすスタッフ役になります。斜面に置いてある用紙を前に、アーティスト役に絵の具の色、分量、紙コップを置く位置などを細かく確認します。アーティスト役が紙コップを蹴り、紙を回すスタッフが回す方向を確認しながら流れるペンキを動かしていく、という工程を繰り返し制作します。

グループによっては、ひかり園の入所者さんも参加されたところもあり、紙を置く板の高さが足りない時は身近なもので高さ調整するなど、工夫を凝らして進めておられました。軽い紙コップはなかなか倒れにくく、紙コップを倒せたときには思わず「やったー!」と拍手が起こる場面もありました。また、倒れずすべり落ちてしまった紙コップによって偶然ついたこすれは、思いがけず面白い表現になることを学びました。アーティスト役のペースで思いを汲み取りながら、二人のスタッフで作品制作のサポートをしていく体験は、普段では感じることのできない時間の流れの中で進んでいきました。学ぶこと、感じることの多いワークショップでした。

休憩やセミナー終了後も片山工房の新川さんやギャラリーミヤウチの今井先生に直接質問に行かれる方も多く、改めて参加者の皆さんの聞きたい、学びたい思いを知る事ができました。

ご参加いただいた皆様、会場を提供くださいました広島ひかり園様、そして、何度もワークショップのシュミレーションをして遠方より来ていただいた片山工房の皆様、ありがとうございました。

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