2016年10月28日
広島県立呉特別支援学校様訪問 【指導者派遣】
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広島県立呉特別支援学校様から指導者派遣のご依頼を受け、10月28日(金)に中学部の生徒さん対象に、美術の授業を行いました。講師はひゅるる協力委員の松尾真由美先生でした。
学年ごとに学習課題は異なるのですが、共通していることがひとつ。それは広島の名産「熊野筆」を使うこと。しかも、授業で使用する筆は、高等部の先輩が作業学習で製作したものです。
その特別な熊野筆を使って、表現方法を学びました。1年生は、インスタレーション作品の制作を行いました。筆を使ってデザイン的な模様の描き方を学ぶ内容です。
まずは筆を持ち上げて、空中で大きく筆を動かして描く準備運動をしました。水をたっぷり含ませた筆で新聞紙に線や、大きな丸を描いて練習をします。その後、先生の机に集まっていろんな色の塗り方、滲みやかすれ、はじき(スパッタリング)などを教えてもらいました。
生徒さんたちは、習った技法で躊躇なく描いていました。学んだ技法が上手にできると「みてみて!できたよ!」と嬉しそうに持ってきてくれました。2年生は、小麦粘土で作った自画像に色を塗っていきました。
「何色と何色を混ぜると肌色になるかな?」という先生の問いかけに、思い思いの色を筆で少しづつ混ぜながら肌色を作りました。
色を塗るのも、一色に塗るのではなく、まずは色の発色を良くするための下塗りとして褐色を塗り、その上に自分で作った肌色を重ねていきました。少し、凸凹した土台をムラなく塗る筆の動かし方や、お友達の顔を見ながら、肌の色にも影の部分の色、白く見える色、黄みがかった色などがある事に気付き学びました。肌色を塗り終えた作品を並べ、眺めている生徒さんたちは学んだ事を実行できた達成感と充実感の表情を浮かべていました。3年生は、修学旅行で行った海遊館の思い出を描きました。とりかかる前に筆に慣れるために、太い線、細い線、小さい点、大きい点などを描き、水彩絵の具ならではの色の重なりについて学びました。その後、海遊館で見た魚の写真を参考にして、練習で学んだ筆の動かし方を活かしながら、制作していきました。皆さん集中して取り組まれており、カラフルで勢いある魚が描かれました。最後に出来上がった作品を皆で見てまわりました。松尾先生からのアドバイスを聞く生徒さんの表情は真剣そのものでした。新しく学んだ表現を使って描いた作品を嬉しそうに眺めていたり、「もっと描きたい!」と描き続ける生徒さんもいました。
今回の授業を通して、新しいことを学んだ生徒さんたちが楽しんで作品制作に取り組む姿と、みずみずしい表現を見させていただきました。50分という短い授業時間では、作品を完成させることはできませんでしたが、11月12日(土)に開催される文化祭に向けて、引き続き美術の授業で取り組まれるそうです。
呉特別支援学校の先生や生徒さん、今回学んだ事を今後の制作にも活かしてくださいね。
素敵な時間をありがとうございました。