2016年10月23日
障がいのある人のアート活動を支援する人たちのための
スキルアップセミナー&ワークショップ第2回開催
【社会福祉法人光清学園】
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10月23日(日)に、「障がいのある人のアート活動を支援する人たちのためのスキルアップセミナー&ワークショップ」第2回を社会福祉法人光清学園様にて開催しました。
事例発表者として、光清学園 成人部の田渕譲氏、太田川学園の羽鳥智裕氏、ワークショップ講師として松尾真由美氏をお迎えしました。はじめにコミュニティーほっとスペースぽんぽん所長で、広島県アートサポートセンターひゅるるスタッフである鰐川華衣より、実際の現場での経験から「アートに取り組む上で大切にしてきたこと」を解説しました。アートは目的ではなく、その方の生活を豊かにするためのひとつの手段であり、描くことは彼らの自己表現であることを話をしました。途中簡単なクイズも取り入れ、会場内が和やかな空気に包まれました。
事例発表では、「施設での取り組みについて」と題して、光清学園と太田川学園の事例を聞きました。光清学園では過去に2年間(月1回程度で)外部から講師の方に来園していただき、色々な技法などを教えてもらった事が利用者さんにとって良い影響となり、今のアート活動に繋がっているとのことでした。もともと美術鑑賞が好きで絵を描き始めたある利用者さんの、初期の作品と最近の作品を見させていただき、その描画の変化に参加者からも「わぁ」と声が漏れていました。アート活動をする上で大切にしている事は、作品展に出す事に追われない事であったり、利用者さんによってサポート内容も違うので、一人一人に寄り添ったものであること、利用者さんの気持ちを一番に大切にする事等熱い想いをお聞きすることができました。
太田川学園には、緻密な作品を日々作成される方や、独特の表現をされる利用者さんがおられるそうです。その中に、「嫌いという気持ち」を文字や色で塗りつぶし、ジェスチャーで表現される方がおられるようで、その方のスイカが嫌いであることを一連の行動で表現している姿を見ながら、羽鳥さんは「字を書く事によって思いを発散しているのではないか。はたまた、スイカが嫌いなのではなく日中活動である農作業が嫌いなのではないか。」と考えるそうです。その話をお聞きし、出来上がった作品だけを見るのではなく、表現した意味を考えることも、サポーターとして大事だと学びました。
他にも、アート活動をサポートするスタッフの体制や、入所施設でアートに取り組む環境を整えることの難しさなど、現場の話もお聞きする事ができました。午後からのワークショップでは、すぐに生かせる表現・技法について「見えるものと感じるもの」と題して、松尾真由美先生にご教示いただきました。
広島名物牡蠣を題材に、参加者の方に、想像して描くことと、題材を見て描くことを体験していただきました。想像して描いた絵と、実物を見て描いた絵の違いは大きく、想像して描いた絵よりも、実物を見て描いた方がフジツボや模様、たくさんの線や色がある表現になっていました。記憶しているものは省略されている部分があること、物をじっくり見る事で見えてくる線や色がある事を学びました。もう一つ、感じ方についても学びました。
グループごとに「空」「山」「肌」「野菜」4種類のお題に参加者一人一人がイメージした自分なりの色を混色して作りました。同じお題でもどれ1つ同じ色はなく、好きな色であったり、思い浮かべたものの色であったりと参加者の様々なイメージで作られた色でした。それはどれも間違いではなくその人に見える色であること、それを否定するのではなく、この方にはそう見えているんだと受け入れてあげる事が大事だと説明を受けました。
その他、色を混ぜる時の方法であったり、身近な素材で表現していく方法など、現場ですぐに取り入れそうなテクニックや道具を教えていただき、あっという間に時間が過ぎていきました。セミナー&ワークショップ、昼休憩での語らいを通して、サポーターが同じような悩みを抱えていることや、もっと学びたいという思いをお持ちだということを知り、参加された皆さんの意欲的な姿が印象に残りました。終了後に「また開催してほしい!」などの声もお聞きする事ができ主催者として大変嬉しく思いました。今回学ばれた事を、様々な現場で生かしていただけますと幸いです。
ご参加いただいた皆様、会場を提供くださいました社会福祉法人光清学園様、ありがとうございました。