主催のプログラム

芸術教室&創作活動支援セミナー「いろーてかんじる」実施報告

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2月10日(月)、11(火・祝)と2日間に渡り、令和元年度 広島県障害者芸術文化活動支援事業と広島市ピースアートプログラム アート・ルネッサンス2020の協働で、西村陽平氏を講師にお招きし、芸術教師湯&創作活動支援セミナー「いろーてかんじる」を実施しました。

【1日目】

合人社ウェンディひと・まちプラザ(広島市まちづくり交流プラザ)北棟6階のマルチメディアスタジオで、陶芸粘土を使用し、立体作品の作成をしました。

24名が参加されました。

一人20キロの粘土を使って創作をしていきます。道具は切り糸のみです。

粘土を切ったり、削り取ったりしながら、上にどんどん積み上げていきます。高くなっては倒れ、倒れても、また積み上げていく作業を繰り返し続けていきました。

小さく削ったり、大胆に切り取ったり。

倒れるたびに、作品の表情が変わっていきます。

倒れることを楽しまれる方もいました。

何度も、重ねた粘土は面白い形の層ができており、繰り返しの作業を通して、色々な発見があり、穴を開ける、ちぎるという新しい表現が見られるようになりました。また、作業にリズムができてくると、積み重ねていくスピード上がったり、切り糸の使い方が上手になっていく変化がみられました。

作品作りを通して交流される様子もみられました。
積み上げたものに飾り付けをされる方もいました。

創作が終わり、鑑賞タイムです。他の方の作品を観ていきます。

「これは顔にみえるねー」「恐竜みたいだね」「オリンピックの聖火台のようにこの上に火が灯るとかっこいいね」など、色々な言葉が飛びかっていました。

「これは鼻。〇〇さんです。」と作品の解説をしてくださる方もいました。

見る人や見る角度によってさまざまな捉え方ができる彫刻作品ができあがりました。

迫力ある作品が並びました。
「もしかしたら、彫刻展ができるかも?」と自画自賛。

皆さんの「つくりたい」という気持ちの強さを感じました。20キロの粘土では足りなかったなと思うくらい、夢中になって粘土に向き合っておられました。

【2日目】

袋町小学校の体育館をお借りして、絵の具を使った平面作品の制作を行いました。

22名が参加されました。

まずは、今日やることの説明を聞きました。

ハニカムボードという約1m四方の大きなボードへ、順番に好きな色の線を描いていきました。何度も何度も線を足していくうちに、皆さんの線も動きも大胆になり、白い余白がみるみるなくなっていきました。

4つのグループに分かれて、子どもも大人も色つけを楽しみます。

画面いっぱいに色が敷き詰められたら、小さな筒や短い棒を使って白色の絵の具をのせていきました。スタンプみたいな感じで、色々なところにつけていきます。

絵の具をつける際にできた白い線もアクセントの一つになっていました。
皆さん夢中で取り組まれていました。

4枚の共同作品が出来上がりました。

個人制作では、スーパーボールを転がしたり、器から絵の具を垂らしたり、手を使って直接絵の具に触れながら、自由に表現をしていきました。

スーパーボールがボードから飛び出ないようにソーっと傾けます。
スーパーボールより手で描く方が面白くなった方もあらわれました。
汚れることは気にせず思いっきり絵の具とふれあいました。

2日間とも、終始笑顔にあふれとても楽しい雰囲気でした。直接、素材に触れて、いろんなことを感じながら、形になっていく。作っている人も見ている側も予想できない展開にわくわくな気持ちでいっぱいな時間になりました。

出来上がった作品は、2月11日〜16日に合人社ウェンディひと・まちプラザ(広島市まちづくり交流プラザ)1回ロビーにて展示しました。

2日間とも、ワークショップの後に質疑応答・意見交換の時間を設けました。

今回のワークショップは、作品をつくることを目的にしたのではなく、創作の過程を楽しむこと、その時に感じることをそのまま表現することを目的にしました。完成図を描いて創作するのではなく、瞬間瞬間で感じることを大切にし、他の人の表現を受け入れ変化すること。その時、その空気(雰囲気)、その場でしかできない表現を体験しました。

ワークショップ後の意見交換では、「その人らしい表現を引き出すことについて」の質問や、「そもそもその人らしい表現とは何?」など、日頃から感じている疑問について考えました。

また、美術を志す高校生に先生から「うまくつくる、描く、そっくりに描くだけでなく、自分をどう作品に込めていけるか、自分が何を感じたかが大切で、それが作品の周りの空気をつくるから」とアドバイスがありました。

様々なことに関心を持ち、心を揺さぶられ感じることは、表現することにとって、とても大切だと改めて思いました。それは、誰にとっても同じことだと思います。

先生の教員時代の実践も伺いながら、参加者からの質問はつきませんでした。時間がきたので終了となりましたが、「1回では足りないので、また来てください。」と口々に言われていました。

今回のように、現場で創作をサポートされている方と、表現することについて、しっかりお話できる機会はとても貴重な時間となりました。

西村先生のお話も、現場で重ねられた経験をもとにした内容で、とてもわかりやすく、これからの取り組みのヒントになることばかりでした。

制作を支援する私たちが大切にすることについて、改めて考える良い機会になりました。 

参加して頂いたみなさん、西村先生ありがとうございました。

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